Hide and Seek

【お題】Hide and Seek
「ダメですよ、今度は出しちゃ」
 髪をつかんで顔をあげさせて、吐き出したそうにしている彼をそう諭した。
1回目は飲めと言った命令を無視して吐き出したので、2度目は頭を抑えて腰を動かし、喉の奥まで突き入れてそこで射精した。
えづきそうになっている顎を押さえて、あきらめたのか嫌そうに飲み込むその姿を堪能する。手を離して床に転がすと、
彼は身を丸めてげほげほと激しくむせかえった。
「噛みつかなかったのは感心ですね。いい子だ」
「お前、は……っ」
「さて、昨日のアレは本当に突っ込んだだけでしたし、今日は少しはマシな目にあわせてあげましょうね」
 そう言った僕の目つきに何を感じたのか、逃げようとあがく身体を捕まえる。背中側から抱きしめ、
左手で胸やら脇腹やら臍やらを弄りつつ、右手で彼の性器を優しくゆるゆるとしごいてやった。
身体をよじって逃れようとしていた彼も、やがてそこがすっかり勃ちあがり、先走りで濡れそぼってぐちゅぐちゅと
音をたてはじめるころにはもう、身体の自由はきかなくなったようだ。
「んっ、あっ、こいず……やっめ、ろ……っ」
「セリフが違いますよ。もっとして、でしょう?」
「ふざけん……んぁっ!」
 わざと強くは握らず、スピードもあげず、一定の間隔でしごき続けていると、もどかしいのか彼はしきりに身悶える。
左手はその間も乳首を弄ったり臍をくすぐったり、先端をなでたり根本の柔らかい部分を揉んだりした。
かなり長い時間がたってから、ようやく彼が息をつめ、腰ががくがくと揺れ始めた。やっと、イけそうになってきたらしい。
「あ……っ、あ、も……っ」
 ビク、と彼の身体がゆれた瞬間、ぎゅうと根本を押さえつけた。耳許で、ダメと囁いてそのまま射精を我慢させる。
彼は泣きそうな顔でうめき声をあげ、イヤイヤをするように首をふった。
 波が収まった頃、再びそれをしごきはじめた。今度は左手で先端をぐりぐりと、ねじこむように刺激しつつ、
根本を抑えて強めにしてあげた。すぐにまた射精感がこみ上げてきたらしいが、根本を抑えた手ははずさない。
彼が悲鳴じみた声をあげた。
「ひ、あ、なん……っ」
「ダメだと言ったでしょう? 僕の許可なく射精することは、今後いっさい許しませんから」
「なっ……うぁ」
「ほら、もう一回我慢して」
 きゅっと強く握り、するりとなであげる。それだけでも達しそうになるのを、また止めさせる。
そんなことをずっと、その後も延々と繰り返した。
「っあ……も、あたま……おかしくな……」
 涙と涎でぐちゃぐちゃになりながら、彼が朦朧とした顔でイかせて欲しいと懇願する。途中から指のかわりに
根本を縛っている紐は、もう先走りでドロドロだ。それでも僕は彼の懇願を無視した。聞こえないふりで、
力の入らない彼の身体を突き放し、床の上にうつぶせにさせる。
「こっちでも、イけるようにならないとね」
 そんな僕の言葉が、彼に届いているのかはわからない。が、彼はただ従順に僕がするままに、
腰を高く上げる淫らなポーズをとった。
「ああ、もうこんなならローションもいらないかな」
 際限なくあふれる透明な汁で、彼のソコはもうしとどに濡れそぼっている。一昨日のダメージがそれほどないのを確認し、
ひくついているそこに指をねじ込んでみると、キツくはあるがあまり抵抗なく、僕の指を飲み込んだ。
「ひ……!」
 彼が引き攣った声をあげる。かまわずにぐいぐい出し入れするうちに2本目も入ったので、じっくりと中を探って、
噂に聞く前立腺というものを探してみた。確かこう指を中に入れて曲げて、腹側のちょっと固くなってるあたりの……。
「っあ! っぁあっあ……っ!」
 ひときわ大きく、彼の身体が跳ねた。すっかり朦朧としていたはずなのに身体を大きくしならせ、高く声をあげる。
「ココですか。なるほど」
「ふ……ぁっ! うぁ……っんっあ!」
 容赦なくそこを強めに刺激する。逃げようとする腰をつかんで同時に前をしごくと、耐えきれなくなったのか膝が崩れた。
フローリングの床に頬を擦りつけて、ビクビクと震える。よっぽど気持ちいいらしい。とうとう声が嗄れて出なくなっても
まだいじり続けたら、彼はどうやら射精しないまま達したらしかった。
「へぇ、ドライですか? はじめてでコレとは、あなた素質がありますよ」
「っ……」
「ふふ。こんなゆるゆるになって。これなら、すぐにはいっちゃいますね」
 びく、と反応するあたり、こんな状態でもちゃんと意識はあるらしい。たいしたものだ。感心しつつも、
意識なんて手放してしまった方が楽だろうにと哀れになった。それでも止める気はないので、もういちど腰をあげさせて、
後ろから彼の中にひと息に突っ込んだ。喉の奥から絞り出すように、彼が声をあげた。
 さんざん弄ったせいか、彼の中は熱くてとろとろで、からみついてくるようだ。前を握ると、きゅうと中が締まる。
それだけでイキそうになって、必死に自制した。
「すごい……」
 腰を動かし出し入れをはじめると、さらに快感が高まる。あまりに気持ちよくて、彼の状態にもあまり気が回らず、
ひたすら激しく突き入れた。レイプしたときもかなり気持ちよかったが、その比じゃない。
搾り取られるような感覚に夢中になって、耐えきれずに彼の中で射精した。それでも萎えなかったので、
抜かないまま再び乱暴に抜き差しする。さっき出したものがかき回されて、ぐちゅぐちゅとすごい音がした。
「あはは、なんか泡だってますよ。すごいな」
 2回目も、すべて彼の中に注ぎ込んだ。さすがに入りきらなかったらしく、ぐぷっと音を立ててあふれてくる。
ねっとりとした糸をひいて僕のものを抜きだしたあとから、ダラダラと白い液体が流れ出た。
「ふふ、すごい。ほら、見て下さいよこんな……あれ?」
 リアクションがないなと思ったら、いつのまにか彼は、半ば意識を飛ばしてしまっていた。結局、一度も射精は
しないままだ。彼の性器はほとんどくったりとしてしまっていたが、このままではさすがに可哀想かと思ったので
根本を縛った紐をほどいてあげた。
 するとピクピクと小さく痙攣する彼のそこから、勢いのない白いものがとろりとあふれ出す。
どうやら放心したまま、イッっているらしかった。



 翌日は、僕の許可なく射精したお仕置きとして、僕が団活に行っている間、彼にエネマグラとかいう器具を
入れてあげることにした。本来は医療器具のようだが、前立腺を刺激するのに適しているらしい。
シャツ一枚きりの彼は、奇妙な形の器具に不安そうな顔だった。
「あなた、昨日は前立腺ですごくよがってたじゃないですか。大丈夫ですよ」
 そっと後ろに埋め込んでみると、最初は渋い顔をしていた彼が、やがて眉を寄せた。そのうち身体が細かく震えだし、
耐えきれなくなったように床に倒れ込む。前も後ろも触れないよう、腕はまとめて後ろで拘束してあるから、
身体をよじってなんとか、感覚を逃がそうとしているらしかった。
「どんな感じです? ずいぶん気持ちよさそうですねぇ」
「うあ、あ、あ、あ、あ……っんん!」
 びく、と身体を震わせて手足を突っ張り、やがて弛緩する。が、射精はしていないようだ。昨夜と同じように、
射精にいたらないままで達したらしい。ほぅ、と思いさらに観察していたら、しばらくすると彼はまたびくびくと痙攣した。
またイッたのか。
「あ……ぅあ……ま、また……っ」
 びく、と身体を震わせる。もう涙も涎も垂れ流しだ。ろれつの回らない声で、これをはずせ、はずしてくれと懇願する。
僕はそんな彼を上からのぞきこみ、にっこりと笑った。
「ずいぶんと、楽しそうじゃないですか。それでは僕はでかけて来ますので、お留守番お願いしますね」
 その状態のまま彼を放置し、僕は団活へと向かった。今日の活動は映画のハシゴだと言っていたから、
たぶん帰りは夜になるだろうな。
 その日は映画の内容も、涼宮さんの言葉も、ろくに頭に入らなかった。今、僕の部屋で彼がどんな状態なのか、
考えるだけでぞくぞくする。途中で耐えきれなくなって、上映中に抜け出してトイレで自分でしてしまった。
 何食わぬ顔で席に戻り、また映画に戻ったから誰にも不信感はもたれなかっただろう。
いつも通りのさわやかな顔の裏で、僕がどんないやらしいことを考えているか、気がつかずにいる涼宮さん。
彼女の隣で、僕は内心でひとりほくそ笑んだ。


 案の定夜遅くなってから帰宅すると、彼はひどい状態だった。顔や髪や身体、そして床が、涙と涎と先走りで
ぐちゃぐちゃになり、着ていたシャツも見る影もなくドロドロだ。暴れたのか拘束した手首は擦れて赤くなり、
膝も少し擦りむいている。とっくに意識はないのに身体はまだ反応しているようで、時折びくびくと痙攣していた。
 中から器具を抜いてやり、頬を軽く叩いて意識を呼び戻す。目は開けたが朦朧としたままの彼の拘束をはずして
風呂で洗って、ベッドに寝かせた。床の掃除をして戻って来ると、彼は意識はあったが目の焦点があわず、
ボンヤリとしている。昨日からの激しすぎる快楽の連続に、もうまともな意志は喪われているようにさえ思えた。
 さすがにやり過ぎたかな、と少し不安に襲われる。狂ってしまったのでは元も子もない。
僕の目的は、彼に僕を好きだと言わせることだ。
 自分勝手で傲慢な世界の鍵に、好きだと言わせてすがりつかせたい。我が儘で無慈悲な神の手から想い人を奪い、
これはもう僕のものだと愉悦に浸ってせせら笑いたい。たとえそれが、ひとときの錯覚でもかまわない。
3年前に僕のすべてを奪い、いまだ僕を振り回し続ける神に、ほんの少し意趣返しをしてやりたいのだ。
なんて小さい男だろうな、僕は。
 そう自嘲の笑みをもらしつつ、彼を正気付かせるために唇に水を含ませた。ゆっくりと口の中に注いでやると、
大半をこぼしながらもやがてコクリと彼の喉が動き、瞳に光が戻ってきた。僕を認識した途端、
嫌そうに寄せられた眉に、かえってホッとした。
「大丈夫ですか? どこか痛いところは」
「……こしが、重い。あとあちこち、いたい」
 かすれた声で、彼が言う。1日中、ドライでイき続ければまぁ、そうなるだろう。かなりつらそうだが、
まだここで優しくしてやるわけにはいかないのだ。
「そうですか。では今日は、後ろを使うのはやめてあげましょうか」
「な……」
 彼の頭を乱暴につかんで、ベッドに座る僕の股間に押しつける。
何をしろと言われているのか察して、彼はまた僕をにらんだ。
「物足りないなら、突っ込んでさしあげてもいいですよ?」
 笑顔でそういうと、彼は無言でさらににらみつけ、やがて渋々と僕のベルトに手を伸ばした。バックルをはずしてジッパーをおろし、
まだまったく反応していないものを取り出して、おずおずと舌を這わせ始める。
ぎこちなく、つたない動きで舐める彼の頭をつかみ、乱暴に押さえつけた。
「もっとちゃんと出来るでしょう?」
 えづきながら僕の全体を咥え、強く吸い上げて、舌と唇を使ってしごくようにする。ちゃんと手も使ってと注文したら、
どこをどうしようかとさまよったあげく、根本の柔らかい部分を揉み始めた。悪くない。
 目を閉じて彼の口淫に没頭する。と、やがて足に何かの感触を感じた。目を開けてみると、彼が自分の股間を
僕の足にすりつけていた。そういえばドライではさんざんイったのだろうが、射精はしていないはずだ。
「ダメですよ、勝手に出しちゃ」
 そう言ってやると、彼はビクリと肩を揺らし、すりつけていたものを離した。が、もじもじと腰を揺らし、
つらそうに眉を寄せている。
「ほら、口がお留守ですよ。両手も使って」
「……っく」
 言われた通りに両手を使い、彼が僕のそれを必死に舐める。やがて射精感が高まってきたので、
僕は彼の頭をつかんで引き離し、口を開けなさいと命令した。嫌々ながら開いた彼の口をめがけて射精したら、
精液は半分ほどが口の中に、もう半分は彼の顔をべったりと汚した。彼は泣きそうな顔で口の中のものを飲み込み、
手の甲で顔を拭う。その様子を見ていたら、どうにも我慢できなくなった。
「……っ!」
 腕をつかんで身体を引き寄せ、足の上に座らせる。手を伸ばして彼の後ろをいじりはじめると、
彼は焦ったように腰を浮かせた。
「な……っ! 今日は、しないって」
「気が変わりました。あなただって……もう、こんなに柔らかいじゃないですか」
 嫌だやめろと駄々をこねる身体を無理やり押さえつけて持ち上げ、屹立した僕のものの上に腰を落とさせた。
自重でずぶりとめりこむ感覚に、彼が息を詰める。今日、一日中刺激され続けたそこはどうしようもなく敏感になっているらしく
、少し揺するだけで、彼の口からは荒い息と嬌声しか出なくなった。
「っん、は、ぁ……っ」
「ほら、自分で動いて。イイところを探しなさい」
「で、きな……っ」
「できないなら、ずっとこのままですよ?」
 ぴたりと動くのをやめて、彼が焦れる様子を楽しむ。
 ぐっと僕をにらみつけ、彼はやがておずおずと、不器用に腰を上下しはじめた。僕の肩に手を置いて、
腰を浮かせて少し抜き、角度を変えてまた押し込む。額に汗を浮かせ、ぎゅっと閉じた目に涙をにじませて。
苦しいのに感じている表情が、すごく色っぽい。
「ここもこんなにして。いやらしいな」
 すっかり固くなった彼の性器が、先走りを吹き出しながらぴくぴくと震えている。身体を上下する度に揺れるそれを、
手を伸ばしてぎゅうっとつかんだ。とたんに彼は背をのけぞらせて、悲鳴を上げた。
「つらいんですか……?」
 ガクガクと震えている彼の耳許で、そう囁く。当たり前だろうと言わんばかりに、涙をためた目でにらんでくるのに、
笑ってみせた。
「昨日も言いましたよね? 僕のこと好きだって、僕とのセックス気持ちいいって言ったら、
もっと優しくしてあげますよ?」
 泣きそうだった彼の顔が、歪んだ。にじみ出るのは怒りのオーラだ。頑なに唇を引き結び、彼は吐き捨てた。
その言葉だけは、はっきりと。
「――誰が、言うかっ」
 そうですか、と僕はつぶやいた。
 そしていったん中から抜き、彼を押し倒してのしかかる。片足を持ち上げて、乱暴に中にねじ込んだ。
かすれる声で悲鳴をあげるのもかまわず、がつがつと容赦なく突き上げ、責め立てる。手加減する気は、まるでなかった。
「ひ……! あ、あぁ……っ! い、ぁ、あ……!」
 先走りを垂れ流して揺れる彼の性器は今にもはじけそうだったが、まだ後ろへの刺激だけで射精できる域までは
達していないらしい。苦しそうに振り絞る声に一切かまわず乱暴に突き入れ続けつつ、僕は両手を彼の首にかけた。
「知ってます? 首を絞めながらすると、すごくイイらしいですよ……?」
 ぐっと彼の喉を圧迫する。彼は恐怖に目を見開いて、僕を見上げている。声はもう出ない。
締め上げる手にじわじわと力を込め、それでも突き上げは止めない。
 彼の手が、僕の腕にかかる。苦しさのあまりかその爪が、ギリギリと皮膚に食い込んだ。
「大丈夫。人の殺し方なら、機関で習いましたから。殺してしまう直前で止めることだってお手の物ですよ。
……でもまぁ、どうせリセットするので」
 彼の爪が、僕の腕の皮膚をかきむしる。そこから血が吹き出すのもかまわずに、にっこりと微笑んでみせた。
「――死んでしまっても、かまいませんけどね」
 ぐっとさらに力を込めるとともに、ひときわ奧へと突き入れる。
 押さえつけた喉がひくついて、声にならない叫びが上がった。まるで引きつけを起こしたように、彼の身体が痙攣する。
すごい勢いで達したらしい彼の性器から精液が激しく噴き出し、同時に彼は失神した。
 くたりと弛緩した彼の中に、僕はさらに押し入れてたっぷりと精液を注ぎ込んだ。



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(2012.06.17 up)
短い……。
次回で終わります。たぶん。