hony talk 2

     【お題】猫耳カチューシャ




「というわけで、今回のテーマは猫耳カチューシャ≠ナす」

「おい、古泉。これカチューシャどころじゃないぞ。生えてんぞ、猫耳が」

「そこはやはり、涼宮さんのお力、というのがお約束なのでしょうね」

「またそれかよ」

「まぁ、長門さんの世界改変の結果だというよりはいいんじゃないですか?」

「長門の趣味を疑わねばならなくなるところだな」



「それにしても、見事な猫耳ですね」

「まったくハルヒのやつも何考えてんだか。猫耳なんて、女子につけた方が
可愛いだろうに、何が悲しゅうて俺に」

「涼宮さんのお気持ちもお察ししますが、猫耳をつけた女性が可愛らしいというのは
同意します。長門さんなんか、きっとお似合いですよね」

「ああ、きっと朝比奈さんもよく似合うぞ。男につけるにしても、もっと
似合いそうなやつにすりゃいいんだ。国木田とか」

「はぁ。そうですね」

「なんだそのあきらかに気のない返事」

「すみません。男の猫耳には興味がないので」

「……俺も男なんだが」

「あなたは、あなたという特別枠です! 可愛らしすぎて、いろいろ漲ります」

「近寄るな、身の危険を感じる」

「あれ、よく見たら尻尾も生えてますね」

「……あ−、なんかやけにズボンの中がごそごそすると思ったら」

「とりあえず下を脱ぎましょう。邪魔そうです」

「拒否する。こうやって、ズボンとパンツずらせば問題ないだろう」

「……かえって卑猥ですがまぁ、目の保養になるのでいいでしょう」

「だから近寄るな後ろにまわるな人のケツをじろじろ見てんな気色悪いっ!」

「ふむ。茶トラですね」



「第1回、猫耳キョンくんお約束検証、そのいちー」

「キョンくんとか言うな」

「ではまず耳から。はい」

「うわ」

「ピクッて動きましたね。くすぐったいですか?」

「ああ、かなり」

「もう1回。そりゃ」

「ぎゃあ!」

「もうちょっと可愛い声だしてくださいよ」

「うるせえ」

「では次は尻尾をつかんでみます。それっ、と」

「んにゃっ!」

「……なんですか今の」

「ししししし知らねえよ」

「も一度、よいしょ」

「にゃあっ!」

「……なるほど」

「なにがなるほどだ! くすぐったいからやめろ」

「猫化部分の感覚は、普通の猫と同じようですねぇ」

「無駄なスペックだな……」

「そういうわけなので、たとえば猫耳の付け根あたりを掻くと」

「あ、気持ちいい」

「でしょ? そしてさらに、顎の下をこうなでると」

「ちょ……何しやがる」

「あれ、喉鳴らせるんですね。顎あげて目を細めてごろごろと……。
すごい気持ちよさそうですねぇ。ほれほれ」

「んっ、やめ……」

「………………」

「ぁ……」

「……あの、すいません。ちょっと休憩入りませんか。いえ、あっちの
部屋でほんの小一時間ほど……痛い痛い、蹴らないでください!」

「見境なく盛んな、この変態が!」

「失礼な! あなたの表情が卑猥過ぎるのがいけないんです! これが
映像だったら、モザイクかかってるところですよ!」

「人の顔をワイセツ物みたいに言うな!」

「少なくとも18禁です!」



「それでは猫化お約束検証、そのにー」

「今度はなんだ」

「ちょっとこちらへ」

「どこへ連れてく気だ。……風呂場?」

「そうです。では、はい。シャワー全開ー!」

「んにゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

「あ、やっぱり水は怖いんですね。はは、そんなにしがみつかないでくださいよ。
嬉しいじゃないですか」

「馬鹿野郎、死ね−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−っ!」

「子供のころとか、わざと猫を水場に連れて行ったりしませんでしたか。
なんか嬉しいんですよね、全力でしがみついてくるのが」

「うるせぇ早く止めろ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−っ!!」

「はいはい」

「……あー怖かった。得体のしれない恐怖だな」

「シャミセン氏の気持ちがわかりましたか」

「まあな。……おい、いい加減離れろうっとおしい」

「酷いですね。そんなこと言うとこうですよ? えい、シャワー全開!」

「にゃああああああああああああああああああああああっ! 馬鹿野郎、てめぇ
憶えてやがれ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−っ!!」

「ははは。幸せすぎて苦しいです」



「いよいよ猫化お約束検証、そのさん−」

「もういいから、元に戻る方法を考えろよ」

「そういうわけにはいきません。僕にとってはこの検証こそが本命なんですから!」

「はぁ?」

「さて、検証のためには、季節を春先にしなければいけないのですが……ここはやはり、
長門さんにお願いするしかないでしょうか。あるいは朝比奈さんに去年の春頃に連れて
いってもらうとか……」

「なんのことだ。春先って、何があるんだよ」

「もちろん、猫科の生き物にとっての恋の季節。発 情 期 です!!!」

「なるほど、古泉そこに直れ、殴らせろ」

「なんでですか! 猫化といったらお約束でしょうが! あなたも春の陽気に
誘われて、発情するカラダをもてあましつつ、『古泉……カラダが熱いんだ……
抱いてくれ……』とか言うべきです!」

「うん、とりあえず死ね?」

「あ、その笑顔怖いです。ちょ、首しまってるしまってる」

「お前みたいな変態は、いっぺん死んで来世でやり直せ」

「ホントに苦しいですって−! ああ……目の前が暗く……」



「まったく、とんだ臨死体験でしたよ。お花畑の向こうでお婆ちゃんが手を振ってました」

「めずらしい体験ができてよかったな」

「そうですね……って、嫌ですよ! できれば体験するのは一生に一度、
平凡だけど幸せな人生をあなたとともに送ったあと、いまわの際にあなたの手を
握りつつするだけにしておきたいところです」

「まぁそれはどうでもいいんだが、元に戻る方法はまだわからないのか」

「さらっと流しましたねちくしょう。長門さんにメールしてみましたが、私は今回は
関与しない、ユニーク、とだけ書かれた返事が来ました」

「長門……。えーと、じゃあ朝比奈さん……は、元から頼りにならないとして、
ハルヒは論外だな。するとあとは……」

「あ、僕、ひとつだけ方法知ってますよ。本から得た知識ですが」

「……嫌な予感しかしないが言ってみろ」

「簡単です。セックスすると猫耳が落ちるらs」

「言うと思ったわ! 却下だ却下っ! というか無理だろ!」

「やってみなけりゃわかりませんよ。だからしましょう」

「読んだ! 俺もそのマンガ読んだから! あれは人間に、生まれつき猫耳が
ある世界の話だろうが!」

「涼宮さんが影響を受けた原因がそのマンガだったら、可能性はありますよ?」

「うっ、急に話に信憑性が出てきたな。だがダメだ。あれは確か、初体験すると
猫耳が落ちるんだろうが。俺はとっくにお前に……あ」

「はい?」

「ななななななななんでもないっ! 今の発言は忘れろ!」

「まぁとりあえず、可能性があるものはみんな試しましょう。寝室はあっちです」

「ちょ、待て待て! やめろ引きずるな、すげえ力だなおい!」

「元に戻りたいんでしょう? 往生際が悪いですよ」

「えらそうなこと言いやがって、実はお前、やりたいだけだろ!」

「おや、よくわかりましたね。大体、猫耳のあなたの可愛さが犯罪すぎるから
いけないんです。責任は取るべきですよ?」

「なんの責任だ! 理由になるかそんなの!」

「細かいことはいいんですよ。さぁ、行きましょうか」

「馬鹿野郎、離せ−!!!!!」


                                                 END
(2010.01.12 up)
なんというカオス。
くだんの漫画は、もちろん『LOVELESS』ですよ。